<機動戦士ガンダムSSS小説一覧>
ザクによる人質事件のあと、隊長以外の四人はブリーフィングルームにいた。
ジェラルドから、待機命令が出て、待機しているのだ。
「ねぇ…、なんで、ジオン兵を逃がしたのかなぁ、隊長」
マイが、まず口火を切った。
「それよか、わからねぇことが多すぎる。なぁ、30バンチ事件って、やっぱティターンズと関係あんのか?」
ベグルがマイの問いに問いで答えた。
「一時期、騒がしかったもんね。関係あるにしたって、でも隊長、連邦とティターンズを潰すっていったわよね」
「嘘だよ、それは…」
アランが口を開いた。
「嘘だと? じゃあ、なんで隊長はジオン兵を逃がしたんだ」
あいかわらず、ベグルがアランにつっかかる。しかし確かにそうだった。
「僕は、人質の人命優先を考えて、これ以上の混乱を避けるために、ジオン兵を落ち着かせるための嘘だと思うんだ」
「ええ〜!? あたしは、同情のような気がする、って、ゆーか、罪滅ぼし? 駐留軍は彼の妹さんを暴行したでしょ。だから逃がしたのよ」
「いやいや、おめーらなんもわかってねぇ」
ベグルはどん、と机の上に座ると、二人をみた。
「おまえらはモニターごしで聞いていたかも知れないが、俺は隊長とジオンのヤツとの会話をナマで見て、聞いてるんだ。あれは、嘘でも、罪滅ぼしでもねぇよ。隊長の本音だ。詳しくは分からないが、あの話し方だと、連邦の上とか、ティターンズとか、相当腐ってるんじゃないか?」
マイはベグルに頷いた。
「うん…、そうなのかな。でも、あたしも思った。コロ警の仕事ついて、クレーム対応してて、そりゃあ、話半分に聞かなきゃいけないところもあるでしょうけど、駐留軍の素行は確かに悪すぎるよね」
「でも、連邦軍を、ティターンズを潰すだなんて…、それじゃあ、今流行ってる反連邦組織といっしょじゃないか…」
アランは小さな声で言った。何かにおびえるように。
「あん? だ〜か〜ら〜、隊長はそういう思想なんだろうが! あのなあ、反連邦思想は、別にスペースノイドだけじゃないんだよ。知らねぇのかよアランは。連邦内部にだって、隠れて結構いるらしいじゃないか」
なぜか、ベグルは生き生きしながら語っていた
「かっかっか!」
老兵レイモンドが笑い出した。
「面白いのう、ボウズ!」
「んああぁ?なんだジジィてめぇ、見てただけじゃねぇかよ!」
「ふん、わしゃ隊長から何も命令されてないから、いいんじゃい!」
「ちょっと、ベグル、じじぃって仮にも大尉でしょ!」
「かまわんよ、お嬢ちゃん。のう、ボウズ。隊長が反連邦側に付いたとして、お前はそれでも隊長に付いていく気か?」
「…そんなの、別に隊長から直接言われたワケじゃないから、わかねぇよ」
「冷静な答えじゃな」
「じぃさんはどうするんだ。もし、そう言われたとき」
「わしゃ、コロ警追い出されたら、もう行くとこないのぅ〜」
レイモンドは呑気に答えた。
「マイは?」
「え? あたし? あたしだってわかんないよ…。でも、真実は知りたいな。だからといって、連邦を変えようとか、大きな事は言えないけど。隊長が知ってることを聞きたい。きっと隊長は大きな何かを掴んでいるんじゃないのかなぁ…」
「おまえは?」
最後にベグルはアランに聞いた。
「…僕も。僕も隊長の話を聞きたいよ。でも、もし、このまま隊長が何も話さないんだったら…」
「チクるか?上に?」
「話次第だよ」
「っかぁ〜、隊長に恩義はねぇのかよ、あきれるぜ」
「でも、でもそれは個人の思想だよ。組織に個人の思想を用いたら、僕たちは混乱する」
マイはアランをドライだなと思ったが、それよりもベグルの口から「恩義」という言葉が出てきたことに驚いていた。
「っちぃ!つめてぇなぁ、だから仲間も平気で撃てちまうんじゃねぇの?」
「やめておけ」
オートドアが開いた同時にジェラルドが入って来た。